
先月の中頃、当館にウミシダ付きのコシオリエビが寄贈されました。物凄くカッコ良い大きなコシオリエビでかなりテンションが上がりました。何を隠そう、担当者はもともとはエビ類の分類研究で世界的に有名な研究室で卒論に取り組むことになったとき、最初に考えたのがコシオリエビ分類かカニダマシ分類かというほどに対称形異尾類が好きなのです。それが奇妙ないきさつでナマコの水産研究で学位を修め、学芸員になってからナマコ分類に鞍替えしてしまいましたが、もともと好きだったことは簡単に切り捨てられるものではありません。

当館に良く入るコマチコシオリエビよりも倍以上も大きく、鋏脚の腕節の棘などの特徴から、これまでに当館では扱ったことのない種であると判断しました。
異尾類に詳しい千葉県立中央博物館の駒井智幸先生に質問させて頂きましたところ、和名未定コマチコシオリエビ属種
Allogalathea longimana Cabezas, Macpherson & Machordom, 2011
ではないだろうかとのご返答を賜りました。

以来、それは飼育展示に出されておりましたが、昨夜脱皮に成功したようで、今朝方に発見された脱皮殻を回収して標本にすることが出来ました。展示生物では珍しいと分かっていても標本にすることは難しいものですが、エビ、カニ、ヤドカリなどでは綺麗に脱皮してくれれば、その抜け殻だけで十分に実用的な標本となります。ナマコは脱皮しないのが残念ですね。。。