なまこつれづれ
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イボカギナマコの属名変わりました!

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もとをたどれば2015年にヨーロッパの伝統ある2館で3種のタイプ標本を精査したことに始まり、ついに今日、7年の歳月を経て、それらの一部再記載論文が次のタイトルで公開されました:
Partial redescriptions of three holothurians with “hook papillae” (Apodida: Chiridotidae): Taeniogyrus japonicus (Marenzeller, 1882), T. dendyi (Mortensen, 1925), Scoliorhapis theelii (Heding, 1928)

本論文の中で、担当者も計画していなかった不思議な成り行きでタイトルに含まれる「鉤疣」を有する3種はクルマカギナマコ属Taeniogyrusやカギナマコ属Scoliorhapisから独立し、カギナマコ属の最初の形であった(新称)イボカギナマコ属Scoliodotaにまとめられました。世界ナマコ類メーリングリストと日本棘皮動物メーリングリストの参加者様には当人の意思に関係なく一斉送信でpdfを謹呈しましたが、興味をお持ちの方には本当の意味としての謹呈をいたしますので、担当者(yamanayusuke39@gmail.com)まで連絡を下さい。
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研究紹介

2022/03/09に話題として触れました和歌山県産三新種の論文が昨夜オンラインファーストで公開されました。
J stageのSpecies Diversityの最新27巻から閲覧、DLできます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/27/1/27_SD21-23/_article/-char/ja
奇遇にも当館國島学芸員の論文の直後のページからの掲載となっています。

ゴマフ・・・?

拡大

「色々な生物」のコーナーで半年ほど展示されていたクモヒトデについて、ゴマフにしては大きいな・・・とずっと悩んでいました。クモヒトデ類の精確な同定には、腕の節の断面を見たり、盤の表皮を溶かして外骨格を見たりしなければならず、コシオリエビ同様、展示個体では難しいと思っておりました。が、この度、(東大三崎臨海の在籍時代に)テヅルモヅル類の研究クラウドファンディングで名を馳せた猛者、岡西政典先生(現・広島修道大学)に写真を見て頂いたところ、即座に返信があり、
「フサクモヒトデ属Ophiocomaですね。多分O. dentata」とのことでした。専門の研究者って凄い!
見習って、担当者も外見からでもナマコを同定できるレベルにならねばと思った出来事でした。

なお、先日投稿した「コシオリエビ」は昨日の朝にバラバラ死体で発見されました。元気そうに見えても、やはり脱皮というのは相当にしんどい作業なのでしょう。ちなみにですが、甲殻類の脱皮では甲殻のみならず、鰓の外皮や胃袋の内壁など、外界に接する部分は細部に至るまで綺麗に脱ぎ捨てなければなりません。そのリスクを冒した彼(彼女?)の勇気に敬意を払いながら、有難く標本にさせて貰いました。

ひょっとして、このブログが「Death blog」なのか・・・? 

大きなコシオリエビが脱皮しました!

謎のコシオリエビ
先月の中頃、当館にウミシダ付きのコシオリエビが寄贈されました。物凄くカッコ良い大きなコシオリエビでかなりテンションが上がりました。何を隠そう、担当者はもともとはエビ類の分類研究で世界的に有名な研究室で卒論に取り組むことになったとき、最初に考えたのがコシオリエビ分類かカニダマシ分類かというほどに対称形異尾類が好きなのです。それが奇妙ないきさつでナマコの水産研究で学位を修め、学芸員になってからナマコ分類に鞍替えしてしまいましたが、もともと好きだったことは簡単に切り捨てられるものではありません。

サイズ比較
 当館に良く入るコマチコシオリエビよりも倍以上も大きく、鋏脚の腕節の棘などの特徴から、これまでに当館では扱ったことのない種であると判断しました。
 異尾類に詳しい千葉県立中央博物館の駒井智幸先生に質問させて頂きましたところ、和名未定コマチコシオリエビ属種
Allogalathea longimana Cabezas, Macpherson & Machordom, 2011
ではないだろうかとのご返答を賜りました。

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 以来、それは飼育展示に出されておりましたが、昨夜脱皮に成功したようで、今朝方に発見された脱皮殻を回収して標本にすることが出来ました。展示生物では珍しいと分かっていても標本にすることは難しいものですが、エビ、カニ、ヤドカリなどでは綺麗に脱皮してくれれば、その抜け殻だけで十分に実用的な標本となります。ナマコは脱皮しないのが残念ですね。。。

研究紹介

2017年に日本海からは初めて発見されたイボカギナマコの一部再記載と鈎疣を有する無足ナマコ類3種のリヴィジョンと学名の新結合に関する論文が本日の早朝に受理されました。物凄く図が多いためZootaxaに掲載される予定です。新記載を含まない論文ではありますが、日本産のナマコ類の全容解明に一歩前進です。Zootaxaではオープンソースでないためフリーダウンロードは出来ませんが、個人的に別刷りとしてpdfを送るくらいなら出来ますので、掲載されたら読んでみたいという方、過去のZootaxaの論文や水産研究の論文など(https://orcid.org/0000-0002-8764-5850)を読んでみたいという方は、山名(yamanayusuke39@gmail.com)までリクエストをお願いします。

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